爪水虫にカビキラーをかけると治る…そんな噂を知っていますか?
爪水虫は一度かかってしまうと治療に時間がかかる上に完治が難しく、再発もしやすいというやっかいな病気です。飲み薬での治療を行っている方であれば、定期的な検診の他に血液検査も行わなくてはならず、治療の手間とお金の問題から病院に通うのを諦めてしまう方も少なくありません。
ですがそのまま放置していても、もちろん症状は良くならず、むしろ悪化する方も当然います。そんな中で、爪水虫治療にはいくつかの民間療法が生まれました。
その中の一つが、爪水虫にお風呂掃除などで使うカビキラーを振りかけるというもの。
ちょっと過激な荒療治に思えますが、使用しても危険は無いのでしょうか。
目次
なぜカビキラーが効くの?
そもそも水虫とは、白癬菌という菌が皮膚に付着し、密封された湿度の高い環境に置かれることで繁殖することが原因です。この白癬菌という菌はカビの一種なので、靴の中などのじめじめした環境で繁殖をします。この白癬菌が爪の中にまで入り込んでしまったものが、爪水虫と呼ばれます。
爪の中でカビが繁殖している…と考えるとゾッとしてしまいますよね。
確かに原因がカビ菌であるならば、カビキラーで菌を殺せるのでは?と考えた人がいるというのも納得です。
実際にカビキラーには強力な抗カビ剤である次亜塩素酸塩という塩素系の成分が含まれており、これがカビを細胞の中から破壊していきます。更に苛性ソーダというアルカリ性の成分も入っているのですが、これはタンパク質、つまり肌を溶かすくらい強力な作用を持っています。
爪水虫をカビキラーで治すということは「カビキラーは白癬菌を殺菌しながら菌に感染した皮膚ごと溶かしてしまうので、それで白癬菌を完全に取り去ることが出来れば治るのではないか」という理論ではないかと考えられます。
カビキラーは水虫薬ではない
しかしカビキラーと言えば、使用するのに換気も手袋も必要なくらい強力なカビ取り剤です。商品説明を見てみると、皮膚に付いた場合はすぐに流水で15分以上洗い流す必要があったり、目に入ってしまった場合は最悪失明の恐れがあったりと、本来の用途であっても取り扱いには十分注意しなければならないものです。
カビキラーを爪水虫に使ってみた方のことを調べてみましたが、すぐに完治したという方もいれば逆に肌荒れを起こして結局治療が長引いてしまったという方もいるようです。やり方は人もよってそれぞれ違い、直接カビキラーを足にスプレーした方もいれば、足湯にカビキラーを溶かしてそこに足を浸してみたという方もいました。
そもそも爪水虫の治療法は、塗り薬だけでは難しいと言われています。爪の中に白癬菌が入り込んでしまうと、いくら爪の表面や周りの皮膚に薬を塗ったとしても爪の奥までには届きにくいからです。なので、爪水虫の治療には飲み薬を使い、体内から白癬菌の繁殖を止める治療をすることもあります。
爪水虫の白癬菌は、白血球も届かないくらいの皮膚の奥に入り込んでしまっているものなので、カビキラーを使ったとしても表面の皮膚を溶かすのが精一杯なのではないでしょうか。
カビキラーを使う危険性
もちろん皮膚を溶かすくらいの強力な薬剤を使って、肌が無事でいる人の方が少ないでしょう。
調べた中には、足全体が腫れてしまったり、ただれてしまったりと、皮膚自体にかなりダメージを与えてしまった方もいるようです。
また、表面の部分だけを薬剤で溶かして一旦は元の足の状態に戻ったとしても、奥深くに潜んでいた白癬菌がまた水虫を再発させるという可能性もあります。足の皮膚を無駄に傷付けただけになってしまうので、その後の治療にかなりの時間がかかってしまうこともあります。
どんなに皮膚が丈夫な人であっても、爪水虫を治して綺麗な足にするはずがかえってボロボロの肌になってしまってはどうしようもありません。
爪水虫治療にはプロのお医者様の手を借りましょう。
爪水虫、カビキラーで治る!?その効果と危険とは まとめ
- 爪水虫の原因菌はカビの一種のため、爪水虫にカビキラーをかけて治すという民間療法が生まれた
- しかし、カビキラーは人の肌に使うには強力すぎる薬剤であり、その上爪の奥で繁殖している白癬菌にまで届くとは限らない
- カビキラーは皮膚を溶かすくらいの強力な洗剤のため、爪水虫治療に使うのは避けた方が良い
以上が今回のまとめになります。
爪水虫の治療は辛いものですが、病院での正しい治療を行うことが完治への一番の近道です。下手にリスクを負わず、確実な方法を選んでください。